伊藤瓦店のオリジナル棟工法を、あいち産業科学技術総合センターの三河窯業試験場にて、回転試験を行いました。
回転試験とは、のし瓦を積み重ねた施工した棟部の試験体を回転台に取り付け、90度傾け2~3回転/分の回転速度で10回転(約3分間回転)させ、
のし瓦の脱落や浮き上がりなどの有無により耐震性能を評価する試験となり、粘土瓦で施工した棟部の地震力に対する耐力を評価します。
屋根を直角に起こした状態でぐるぐると回転させるとても厳しい試験なのですが、
伊藤瓦店のオリジナル工法で施工した棟はびくともせず無事合格しました!
雪国で長年培ってきた技術は、雪にも地震にも負けないとても頑固な棟施工が可能になりました!
地球温暖化の影響でしょうか? ここ数年で冬の様子が変わってきたように思えます。
温暖化といっても雪はしっかり降ります。
今年の場合、郡上山間部では屋根の上に雪が2m50cm程積もった時もありました。 ところが、どかっと雪が降った数日後から、春のような陽気が続く事がよくあるんです。
春のように暖かい(暑い?)といっても、それは日の当っている場所だけです。日陰はやはり冬の寒さ。
つまり、日当たりの良い南向きの屋根は雪が早く融けて、北向きの屋根の雪はまったく溶けずに屋根に残ります。
片方の屋根だけ雪が融けてずり落ちていくので、棟は流れ方向にかなりの力で引っぱられます。
これが棟転倒の大きな原因です。
積雪地域では、瓦屋根の棟に相当な強度が要求されます。
この強度は、棟が高くなればなるほどより必要です。
昨年からの「どか雪」で、郡上の豪雪地帯では転倒した棟が数多く見られます。転倒した棟のほとんどが「雨切りのし」を使用して高く積んだ棟で、しかも棟束を使用してない棟です。
当店では、そういった高い棟には必ず棟束を挿入しています。昔は30x105程の木製だったのですが、現在ではコーチボルトやメッキをしたガス管、建設用の異型鉄筋などを使用しています。棟束はのし積みの天辺までしっかり入れます。(途中で留めるとそこからポッキリ持って行かれることが有ります)
葺き土は凍みに強いセメントモルタル系の葺き材を使用しますので、いくら寒い場所でも生土のように凍みて広がることはありません!